「洋とのステージは緊張感と開放感、シリアスとアホの振り幅の広さが魅力の一つやね。同じ曲でも日によって、相当に違う演奏になるのも面白い」リクオ

写真提供=「海さくら」

―――9月27日、江ノ島での「海さくらコンサート」、ロケーションも、主催者の志も、それを理解して出演したほとんど地元のミュージシャンたちの演奏も素晴らしかったです。主催の「海さくら」のblogにこのイベントの写真、レポートが掲載されていますが、それを見るだけでまた涙腺ゆるんできそうです。
リクオさんはこのコンサートに初回から3年連続出演していて、今回は出演者でありながら、ある意味、主催側でもありますよね。コンサート全体の進行オーガナイズをされてるようでしたし、他の出演者たちとあの場でしかない共演を創っていました。年に100本を優に越える数のライヴを日本各地で行なってると思いますが、こうして自分が住む地元で、主に地元のミュージシャンたちと、地元の主催者とのイベントというのもすごく感慨深かったんじゃないですか?
山口さんも第30回インタビューで仕事場を湘南に移し、海がそばにある生活を話していましたが、ステージ、客席から見渡す景色がすべて海、というロケーションでのイベント、素晴らしかったですよね。
リクオ 音楽を通じて人間同士だけでなく自然とも共鳴できるのが「海さくらコンサート」のええとこやね。古謝美佐子さんが歌っているときに、無数のトビが展望台の上空にどんどん集まってきた、あの光景が象徴してると思う。演奏者もお客さんも、あの場にいた人達はみんな余計な力が抜けてたよね。多分、気持ちよくエネルギーが循環してたから、自分1人でがんばる必要がないねんな。
オレは「海さくらコンサート」に関わったことが一つのきっかけになって、今年の春に東京からこのあたりに引っ越して来たんやけど、あの空間を体験した人達なら越して来た理由も理解してくれるんちゃうかな。すごく幸せな空間やったね。
山口洋 何だろうね? リクオの云う通りだね。まったく無駄な力が入らなかった。不思議だよ。場所の力、主催者の想い、演奏者がそれを理解していたこと。いろんな要素がうまく作用してたんだろうね。素晴らしかったよ。是非、続けて欲しいし、俺もできる協力はしようと思ってる。
撮影=山口洋 ―――「海さくら」コンサートでは、発売されたばかりのニューアルバム『What's Love』から「あいのうた」を披露したリクオさんに、新作についてではなく同時発売のベスト盤について質問するのもなんなんですが、ヒートウェイヴのボックスセット『land of music "the Rising"』のアートディレクター渡辺太朗が、リクオさんのこの『BEST EARLY YEARS 1990〜1995』ジャケットもデザインしています。彼の仕事っぷりはいかがでしたか?
リクオ 渡辺さんのデザインに対しては最初からほとんど注文をつけるところがなかったね。アーティストに対する理解とリスペクトを持って関わってもらえたことに感謝してるし、この縁をこれからも続けさせてほしいと思ってます。
ベスト アーリー・イヤーズ1990-1995 ―――山口洋は8月30日、31日に、リクオさんは9月22日に宮城県白石市のカフェ・ミルトンでライヴを行なっていますが、11月15日には、沖縄那覇桜坂劇場山口洋リクオとして、新良幸人さん&下地勇さんという石垣島宮古島出身の唄者との「カフェミルトンへのサウダージ」と題されたライヴがありますね。「サウダージ」とは「郷愁」と訳されることが多いポルトガル語ですが、リクオさんにとってカフェミルトンという場への「郷愁」はどんなものですか?
また、このライヴは第21回インタビューに登場して頂いた沖縄の野田隆司さんがプロデュースする「ASYLUM 2008」という音楽、映画、アートなどの複合イベントの一環ですが(山口洋11月14日にも出演)します。山口さんは野田さんにどのようにお誘いを受けたのですか?
リクオ ミルトンはまだ2回しか訪れていないけど、もっと何回も行ってるような、既に戻ってくる場所って感覚がある。あの空間にいると、懐かしさと同時に、進行形の何かや、新しい繋がりが生まれる現場にいるようなときめきを感じるねん。過去と現在、そして未来が繋がってゆく感じ。
価値の基準を外に置かず、内に求めることに徹底する、そのことによって地下の水脈にたどり着くみたいに、いろんなところへ繋がってゆく、ミルトンに対してはそういうイメージがある。沖縄で「カフェミルトンへのサウダージ」とタイトルづけられたイベントが行われて、日本各地から人が集まってくるっていうのは、そういう姿勢の成果やろね。
そう言えば、自分にとっての「美しいもの」っていうのは常に郷愁を含んでる気がする。なんでやろ? どんな時代にも美しさの本質って変わらんからかな。
山口洋 うん。いつものように沖縄の野田君に「牛」のように誘われた。何故沖縄で、青森県弘前市宮城県白石市石垣島が繋がるんだろうね? 理由は俺も良く分からないよ。なるべくしてそうなったとしか。「今」を生きてたら、「繋がる」って言葉を連発しなくても、必然的にそうなるんだと思う。楽しみにしてるよ。
―――山口洋リクオのツアーも12月に5本決まりましたね。昨年12月、今年の初夏に続き、1年間で3本目の仲良しツアー。今回は第15回インタビューに登場してくれたイベンターTSUKUSU主催による九州ツアーです。同インタビューで「九州はね。何故か過密スケジュールになるんだよ」と山口洋が言ってましたが、まさに今回もまたまた過密ですね。九州のファンにメッセージをお願いします。
リクオ 九州をツアーすると、いつも以上に飲み過ぎてまうねん。手がもつれんように気をつけます。
洋とのステージは緊張感と開放感、シリアスとアホの振り幅の広さが魅力の一つやね。同じ曲でも日によって、相当に違う演奏になるのも面白い。 はじめて観る人も、そうでない人も、とにかく新鮮なステージになることは間違いないんで、楽しみにしといて下さい。
山口洋 九州の人に散々云われてたのよ。地元なのに、どうしてリクオさんと来てくれないんですかって。「身体、ひとつしかないから」って応えてたんだけど、実際そうだったから、許してくれ。リクオは本番中飲まないように、俺が見張ってるんで、心配なく。でも、焼酎と水は同じ色だからなぁ。
特筆すべきは、熊本には俺の師匠「野田敏」が出てくれること。彼はね、本当に素晴らしいよ。近いうちに、彼とアルバムを創ろうと思ってるんだけど、その記念すべき「第一歩」を是非見に来てください。つーか、俺も20年以上待ってたんだけど、彼に「待ってましたーーーー」と是非声援を送ってください。実は俺、彼の新曲を聞いたんだけど、ブランクを感じさせないどころか、今の彼にしか歌えない歌になっていて、落涙したよ。見逃すなよー。後悔するぜ。
山口洋 & リクオ
the hobo jungle tour 2008
12月11日(木) 長崎・ベイサイドバーR-10
開場/開演=19時/19時30分
チケット料金=4,000円(税込/ドリンク代別途500円)
チケット=R-10店頭、電話予約(089-945-9512)、チケットぴあ(Pコード:304-082)、ローソンチケット(Lコード:85812)、TSUKUSUインターネット予約、電話予約(092-771-9009)にて発売中 問=TSUKUSU (TEL 092-771-9009)
12月12日(金) 佐賀・浪漫座
開場/開演=18時30分/19時
チケット料金=4,000円(税込/ドリンク代別途500円)チケット=チケットぴあ(Pコード:304-083)、ローソンチケット(Lコード:85813)、TSUKUSUインターネット予約、電話予約(092-771-9009)にて発売中
問=TSUKUSU(TEL 092-771-9009)
12月14日(日) 小倉・GALLERY SOAP
開場/開演=18時30分/19時
チケット料金=4,000円(税込/ドリンク代別途500円)
チケット=GALLERY SOAP店頭、電話予約(093-551-5522)、メール予約(info@g-soap.jp)、ボーダーラインレコード、チケットぴあ(Pコード:304-084)、ローソンチケット(Lコード:85814)、TSUKUSUインターネット予約、電話予約(092-771-9009)にて発売中
問=TSUKUSU(TEL 092-771-9009)
12月16日(火) 熊本・ぺいあのPLUS
GUEST=野田敏
開場/開演=18時30分/19時30分
チケット料金=4,000円(税込)
チケット=ぺいあのPLUS店頭、電話予約(096-322-6813)、チケットぴあ(Pコード:304-085)、ローソンチケット(Lコード:85815)、TSUKUSUインターネット予約、電話予約(092-771-9009)にて発売中 問=TSUKUSU(TEL 092-771-9009)
12月17日(水) 福岡・ROOMS
開場/開演=19時/19時30分
チケット料金=4,000円(税込/ドリンク代別途500円)
チケット=電話予約(092-751-0075)、チケットぴあ(Pコード:304-086)、ローソンチケット(Lコード:85816)、TSUKUSUインターネット予約、電話予約(092-771-9009)にて発売中
問=TSUKUSU(TEL 092-771-9009)