「私も大きな画面とでかい音で観て、聴いてみたいですね。それだけのポテンシャルがあると思うので。『Seaching for "land of music"』と二本立てで……なんて実現したら素晴らしいですね」宮崎幸司



ライヴDVD『"land of music" in Action』より


―――ボックスセット『the Rising』が発売になり、感想フォームからたくさんの感想が届いています。

「ヒートウェイヴの曲、演奏、うたにある大きな意味でのダイナミクスを、音楽/映像作品としても実現できた」と、以前インタビューで答えてくれた宮崎幸司監督にも、ライヴDVD「"land of music" in Action」の感想が届いていますので、その中のいくつかを紹介し、監督本人に答えてもらいます。


〈すごく、きれいに撮れていて作りすぎてなくて、でも印象的なエフェクトがあって、普通に撮ったライブ作品ではなくて面白かったです。特に陽炎のようにユラユラとなったり、一瞬だけユラッとなったりする感じがたまらなく気持ちよく、音とマッチしていたように思いました。個人的には演奏したセット総て収録してほしかったのですが、そういうわけにも行きませんよね。ブルーとグリーンの感じがすごくすきでした。あとバックで流れている映像とクロスフェードしたりする感じも音と合った瞬間がすごくよかったです〉(30代/男性)
映像エフェクトとの融合についての評価は嬉しいですよね。先月のTOUR "the Rising"の渋谷公演でも約9ヶ月ぶりに、ライヴステージとの映像コラボレーションを、渡辺太朗さんと組んでやっていましたよね。


宮崎幸司 感想、ありがとうございます。自分としても確信を持ってやった部分を面白いと感じてもらえたこと、何より音と映像のマッチングについて評価してもらえたところが嬉しいです。『"land of music" in Action』の、演奏シーンに重なってくる映像部分は、ライヴ当日VJでスクリーンに映していた映像をラインで録っておいたものを使用しています。編集に入る前は、うまくいってない部分は差し替えの必要もあるかもしれないな……と思っていたのですが、実際繋げてみると欲しいところで欲しいものが絶妙なタイミングで入ってきており、このVJなかなかいいプレイしてるじゃないかと感心しました(笑)。
収録内容に関しては、スタッフやメンバーのみなさんと何度も検討した上で、作品にとってはこれがベストな形だという判断に辿り着きました。どうぞご理解下さい。
先月のTOUR "the Rising"の渋谷公演の映像は、太朗さんも山口さんとの対談で語っているように、とにかく時間的な余裕が無かったのですが、それでも前回と同じことはやりたくない。自分たちにとって新しいこと、フレッシュなことをやろうというのが、映像チーム「mood. films」内での一致した意見でした。機材のセッティングも一新しての一発勝負のチャレンジだったので、中には事前に思い描いていた程の効果を得られなかったものもありましたが、本番の最中だというのにやってる当人が本気で感動してしまうような特別な瞬間もありました。自分にとっても新しい何かが開けたようなライヴでした。


―――続いての感想です。
〈何度も見ましたが、これからも何度も何度も何度も何度も見ます。HEATWAVEの音楽はとても強いので、映像をつくるのはかなり難しいことだと思います。グルーヴを掴もうと人差し指をクルクルまわす山口さん、ドラミングする池畑さんの表情、オリジナルな渡辺さんのセンス、その場でサウンドをつくっていく魚さんの意識の核のようなもの、それらや、音楽のつくる奇跡が記録されている作品です〉(30代/男性)


宮崎幸司 本当によく観て下さっていることのわかる感想で、嬉しいです。この作品は私にとっても特別なものですが、観て下さった方にとっても特別な作品になってくれたなら幸いです。HEATWAVEの音楽の強さと映像をつくる難しさについては、そうですね……今回強く印象に残ったのはHEATWAVEの音楽の強さを支えるしなやかさでした。四人のメンバーが変幻自在に音を編み出してゆく、それについていくことは大変に難しいことのようにも思えますが、今回は越智望さんをはじめとする、音をしっかり聴いて感じて撮れるスタッフによって撮影が行われていたので、編集もただその流れに導かれるようにして、ほぼ全カットがファーストチョイスで決まった曲もありました。後で他の可能性を探ってみてもその流れがベストでした。あれは本当に驚きました。


―――またまた30代男性からの支持なのですがもうひとつ。
〈私は会場にいたんですけど、あの熱気をしっかり閉じこめたと思います。でも音圧はなんていうか、ライブのほうがある、それはしかたないわけで。もし大きなスピーカーでフィルムコンサートのようにこれを見れば違うんだろうけど。でもただのライブDVDではなくて、会場で見てたときとは違う気分で見れるんで、こんなの今まで無かったし、これからもコラボしていってほしいです〉(30代/男性)


宮崎幸司 そうですね、ライヴ会場にはライヴ会場でしか体験できないことがあり映像でそれを代替できる訳ではありませんが、その体験に拮抗しうるものを作品として成立させたかったので、会場とは違う気分で観ていただけたというのは本当に嬉しい意見です。
私も大きな画面とでかい音で観て、聴いてみたいですね。それだけのポテンシャルがあると思うので。『Seaching for "land of music"』と二本立てで……なんて実現したら素晴らしいですね。HEATWAVEとは是非また一緒に何かできたらと私も願っております。これからもよろしくお願いします!