「この時代をあちこちから眺めて、風のような短編がたくさん書けないかって夢想してる。それをバンドに持ち帰って、新しい作品を作りたいねぇ」山口洋


撮影=TUK TUK CAFE


山口洋 ソロツアー「on the road, again vol.4」

8月7日(木) 新潟・ネフ
オープニングアクトクマガイマコト
8月9日(土) 高岡・Cafe POULOWNIA
8月10日(日) 金沢・メロメロポッチ
8月28日(木) 宇都宮・BIG APPLE
8月30(土)、31日(日) 白石・Cafe Milton
9月6日(土) 千葉・ANGA
オープニングアクト=ユダ(Samurai Delicatessen Band
9月12日(金) 横浜・THUMBS UP
9月20日 (土)  山梨県都留市・高部座(山梨県都留市大幡2873-1)
9月28日(日) 静岡・UHU
9月30日(火) 奈良・蔵武D
10月2日(木) 高松・RUFFHOUSE
10月4日 (土)  松山・MONK
10月5日(日) 福山・POLE POLE
10月7日(火) 和歌山・Vintage
10月11日 (土)  吉祥寺・Star Pine's Cafe
10月21日(火)  鹿児島・Bar MOJO
10月22日(水)  宮崎・Cafe Bar SOHO
10月29日(水)  神戸・BACK BEAT
10月31日(金) 広島・ヲルガン座
11月1日 (土)  山口・月光荘山口市平井822-7 山大通りオフィスビル2階)
11月3日(月・祝) 岡山・Blue Blues(岡山市表町3丁目12-12)
11月5日(水) 名古屋・Heart Land STUDIO
オープニングアクト丸岡寛之
11月7日(金) 長野・ネオンホール
11月21日(金) 仙台市HEAVEN
11月23日(日) 秋田市BARE FOOT
11月24日(月・祝)山形市Tarji
11月29日(土) 苫小牧市アミダ様
11月30日 (日)  旭川市EARLY TIMES
12月3日(木) 札幌市・くう

―――6月27日(札幌)から再開される山口洋&リクオの「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」の後、8月からは山口洋のソロツアー「on the road, again」第4シーズンが始まります。

2006年2月にスタートした山口洋ソロツアー「on the road, again」が、ヒートウェイヴのアルバム『land of music』に与えたものはこの第4回のインタビューに語られています。また、『land of music "the Rising"』にはドキュメンタリー映像、ダイアリーとして記録されています。

そもそもこのツアータイトルは、ジャック・ケルアックが1957年に発表した作品から拝借したものですよね? 昨年、池澤夏樹さんが編まれた「世界文学全集」の弟一巻として新訳が出てまた話題になった不朽の名作。〈『オン・ザ・ロード』は「路上」をどこかへの「途上」と信じてひたすら移動を続ける若い連中の話だ〉と、池澤さんは解説の中でこの作品について触れていますが、後に「ビート・ジェネレーション」という言葉まで生み、多くの若者たちに影響を与えたこの作品を、山口さんはいつ頃、どのように読んだのでしょうか?


山口洋 うーん。多分20代だろうね。ビートニクスの作家が書いたものは、その頃にあらかた読んだ。でも、実は彼らの書いた文章にそれほど影響は受けてないんだ。だって、分からないんだよ。訳文だと。あのリズムは翻訳不可能だと思うんだ。原文で読む力があれば、また違ったんだろうけど。そんな意味では、ゲイリー・シュナイダーとかグレゴリー・コルソとか、禅だとか、わびさびだとか、この国の文化に深い理解を示した人たちの書いたものの方が親しみやすかった。多分、文章そのものよりも、生き方や態度に影響を受けたんだろうね。一生「on the road」に立つことの意味、とかね。僕の中では、セリーヌブコウスキーヘンリー・ミラーハンター・トンプソンなんかと並列にあるものなんだ。何がって、その独立した精神がね。


―――前回の友部正人さんとの対談ボブ・ディランについて語っていましたが、ディランもケルアックの影響を受け、70年代半ばのツアー「ローリング・サンダー・レビュー」では彼の墓を訪ねていますよね。これは仮定の質問ですが、山口さんがアメリカに生まれ育ち、ディランのように10代でこの本を読み、60年代や70年代にシンガーソングライター、ギタリストとして活動していたのなら、当時親交を深めていたと思うミュージシャンは誰ですか?


山口洋 うーん、たくさん居るんじゃない? 仮定だから、何とでも云えるんだろうけど。ウォーレン・ジヴォンブルース・スプリングスティーンヴァン・モリソングラム・パーソンズ、レーナード・コーエン、アル・クーパー、おこがましくなってきたから、このへんでやめとく。

蛇足だけれど、「ローリング・サンダー・レビュー」はネイティヴ・アメリカンメディスンマン、ローリング・サンダーの名前から取られてるのね。ネイティヴな人々が彼らに与えた影響も大きいんだよ。俺もネヴァダにあるローリング・サンダーの家に押しかけたことがある。彼らの考え方は普遍なんだ。今の時代、とてもナチュラルに響くと思うから、『ローリング・サンダー』(ダグ・ボイド著/北山耕平+谷川大樹訳/平河出版社)って本、読んでみることをお勧めします。俺にとっては20代、ビートニクスよりも大切にしてた本なんだ。教えてくれた友人には本当に感謝してる。この惑星に生きてるってのは人間の奢りだ。生かされてるのは人間の方なんだ。こんな当たり前の事をずっとずっと実践してきた人たちなんだ。今こそ、そこに立ち返らなきゃ、人間はそう遠くない未来に滅びると思う。


―――最後に、今回のツアー「on the road, again vol.4」についての想いを教えてください。


山口洋 このツアーは俺の原点なんだ。一人なら、何処でも行ける。自由なんだ。しがらみもない。自分の意思で移動する。たまに辛いときもあるけど。たとえば、知らない街で飯食う店が全部しまってるとか。あはは。でも、聞きたい人が居るなら、何処でもいくぜって。シンプルにそう考える。俺はね、その旅路の中で、新しい歌を書こうと思ってるんだ。だから、スケジュールはゆるくしてみた。旅ガラスの一番の悩みは、その時間がないってことなんだ。この時代をあちこちから眺めて、風のような短編がたくさん書けないかって夢想してる。それをバンドに持ち帰って、新しい作品を作りたいねぇ。来年30周年なんで、初めて祝うかっちゅー気分だったんだけど、やっぱり新しいものにしか興味がないみたいだねぇ。そんな訳で、みなさん気軽に遊びにきてください。