「な、訳で、明日のスターパインズ・カフェでは皆さんに手に取ってもらうことができます。めでたい日なので、シリアルナンバーも書きます」山口洋
撮影＝山口洋
―――「ぱんぱかぱーん」というファンファーレと共にアルバムのマスタリング完了がアナウンスされたのが3月17日。それからきっちり１ヶ月後の4月16日、明日の吉祥寺STAR PINE'S CAFEでのライヴ会場で発売、というのは、通常のレコード会社の進行からは考えられないスピードです！ 発売日の1週間前にはレコード会社の各支部に納品されて、そこから各CDショップに搬送というのがそれでも「緊急工程」というやつですよね。
さて、ドキドキしながら質問します。現在4月15日9時30分、『Live at Cafe Milton』は無事に納品されたのでしょうか？
山口洋 はいー。レーベル（NO REGRETS）に、本日4月15日午前9時32分に無事納入されました。
あー良かった。現在、総出で発送作業に追われております。確かにレコード会社じゃ考えられない早さなんだけど、演奏した、録音した、ミキシングした、マスタリングした、デザインした、プレスした、出来たーーーっ。だから聞いて、冷めないうちにってのは、ご飯をあったかいうちに食べて欲しいのと一緒だよ。何のしがらみもないと、こういうことが出来るのがいいね。「on air解禁日」とかもないしね。はいー、ラジオの人は何の制約もないのでガシガシかけてください。
な、訳で、明日のスターパインズ・カフェでは皆さんに手に取ってもらうことができます。めでたい日なので、シリアルナンバーも書きます。もちろん「001」からです。今後の僕、およびHEATWAVEのライヴではすべて入手可能です。週末のカフェ・ミルトンのイベント、それからARABAKI ROCK FESでも入手可能です。
直売店には今日中に発送するので、4月20日には間違いなく届いていると思います。問い合わせてみてください（店のリストはこちら→★）。これらのお店は実際に僕が足を運んだものが殆どで、それぞれの分野で頑張ってるお店です。一癖も二癖もある人物が多いすけど、せっかく足を運んでくれたなら、店主と話をしてみてください。webでの通販は「ads405」にて、4月22日からです。
―――納品おめでとうございます！ さて、では収録曲のインタビューに戻ります。
9曲目は「荒野の風」。アルバム『1995』収録曲です。〈魂は荒野をめざす〉というフレーズのあるこの曲は、昨年公開されたショーン・ペン監督の映画『into the wild』と強く共鳴します。主人公の年齢、環境はたぶん違う。でも、ふたりとも魂は荒野をめざしている。作者として、あの映画と一種のシンクロニシティーを感じませんでしたか？ あと、間奏に吹かれる口笛が、厳しい決意の中にも悲壮さも自己憐憫も感じさせない軽やかさがあって好きなんです。ああ、こういうテンポで荒野に歩きだすんだなって。
山口洋 そうねぇ。主人公はまるで自分みたいだった。ショーンが描くものは、いつもそうなんだ。
20代の終わり頃、荒野によく行ってた。ネヴァダやアリゾナの砂漠にね。周囲100キロにはガソリンスタンドもない。鍵を閉じ込めたら、即アウト。そこで、自分を媒介として、地面と空を繋ぐ場所を探し当てて、水だけで3日間過ごすんだ。これはネイティヴな人々の割礼のような儀式で、「ヴィジョン・クエスト」って言うんだけど、恐怖のあまり、そこでいろんなヴィジョンを観る。それを戻ってから、チーフ＝メディスンマンに話したとき、初めて彼に名前が与えられる。転がる雷鳴のヴィジョンを得たものは「ローリング・サンダー」と云う風に。
僕は恐怖のあまり、何度も逃げ出した。遠い山脈の向こうに夕陽が沈んでいくと、まるで宇宙にひとりきりにされたみたいな気分になる。やがて星が輝きだして、「満天の星の恐怖」が襲ってくる。今まで自分がやってきたことがグルグル廻り出して、泣きわめくんだ。
でも、慣れてくると、自分の中にある宇宙と、外にある宇宙が同じだと思えるようになる。朝の有難さが、身にしみて分かるようになる。僕は生きてるんだって、生かされてるんだって、心から実感できるようになる。僕はあの時の感覚を忘れずに生きていたい。その時の気持ちは「地平」って歌にしたから、気になる人は聞いて欲しい。すべての「境」を消そうとするから失敗するんだって。「ぼかして」行けばいいんだって。そう思ったんだ。
僕の家には、その日からずっと「その場所」の360°の写真が貼ってある。
また、そんな季節がやってきたのかな、とも思ってる。今の自分がそれに耐えられるかどうか、分からないんだけれど。耐えられる自分ではいたい。
―――昨年はこの映画の封切りを楽しみにしすぎていて、翌日にライヴがあることを忘れていたそうですが、いいですか、明日は吉祥寺STAR PINE'S CAFEでライヴで、『Live at Cafe Milton』の発売ですよ。
山口洋 はい。そうだったね。明日はこのアルバムからの曲を中心にやるつもり。みんな気軽に遊びに来んしゃいね。
（インタビュー 続く）
さて、ドキドキしながら質問します。現在4月15日9時30分、『Live at Cafe Milton』は無事に納品されたのでしょうか？
山口洋 はいー。レーベル（NO REGRETS）に、本日4月15日午前9時32分に無事納入されました。
あー良かった。現在、総出で発送作業に追われております。確かにレコード会社じゃ考えられない早さなんだけど、演奏した、録音した、ミキシングした、マスタリングした、デザインした、プレスした、出来たーーーっ。だから聞いて、冷めないうちにってのは、ご飯をあったかいうちに食べて欲しいのと一緒だよ。何のしがらみもないと、こういうことが出来るのがいいね。「on air解禁日」とかもないしね。はいー、ラジオの人は何の制約もないのでガシガシかけてください。
な、訳で、明日のスターパインズ・カフェでは皆さんに手に取ってもらうことができます。めでたい日なので、シリアルナンバーも書きます。もちろん「001」からです。今後の僕、およびHEATWAVEのライヴではすべて入手可能です。週末のカフェ・ミルトンのイベント、それからARABAKI ROCK FESでも入手可能です。
直売店には今日中に発送するので、4月20日には間違いなく届いていると思います。問い合わせてみてください（店のリストはこちら→★）。これらのお店は実際に僕が足を運んだものが殆どで、それぞれの分野で頑張ってるお店です。一癖も二癖もある人物が多いすけど、せっかく足を運んでくれたなら、店主と話をしてみてください。webでの通販は「ads405」にて、4月22日からです。
―――納品おめでとうございます！ さて、では収録曲のインタビューに戻ります。
9曲目は「荒野の風」。アルバム『1995』収録曲です。〈魂は荒野をめざす〉というフレーズのあるこの曲は、昨年公開されたショーン・ペン監督の映画『into the wild』と強く共鳴します。主人公の年齢、環境はたぶん違う。でも、ふたりとも魂は荒野をめざしている。作者として、あの映画と一種のシンクロニシティーを感じませんでしたか？ あと、間奏に吹かれる口笛が、厳しい決意の中にも悲壮さも自己憐憫も感じさせない軽やかさがあって好きなんです。ああ、こういうテンポで荒野に歩きだすんだなって。
山口洋 そうねぇ。主人公はまるで自分みたいだった。ショーンが描くものは、いつもそうなんだ。
20代の終わり頃、荒野によく行ってた。ネヴァダやアリゾナの砂漠にね。周囲100キロにはガソリンスタンドもない。鍵を閉じ込めたら、即アウト。そこで、自分を媒介として、地面と空を繋ぐ場所を探し当てて、水だけで3日間過ごすんだ。これはネイティヴな人々の割礼のような儀式で、「ヴィジョン・クエスト」って言うんだけど、恐怖のあまり、そこでいろんなヴィジョンを観る。それを戻ってから、チーフ＝メディスンマンに話したとき、初めて彼に名前が与えられる。転がる雷鳴のヴィジョンを得たものは「ローリング・サンダー」と云う風に。
僕は恐怖のあまり、何度も逃げ出した。遠い山脈の向こうに夕陽が沈んでいくと、まるで宇宙にひとりきりにされたみたいな気分になる。やがて星が輝きだして、「満天の星の恐怖」が襲ってくる。今まで自分がやってきたことがグルグル廻り出して、泣きわめくんだ。
でも、慣れてくると、自分の中にある宇宙と、外にある宇宙が同じだと思えるようになる。朝の有難さが、身にしみて分かるようになる。僕は生きてるんだって、生かされてるんだって、心から実感できるようになる。僕はあの時の感覚を忘れずに生きていたい。その時の気持ちは「地平」って歌にしたから、気になる人は聞いて欲しい。すべての「境」を消そうとするから失敗するんだって。「ぼかして」行けばいいんだって。そう思ったんだ。
僕の家には、その日からずっと「その場所」の360°の写真が貼ってある。
また、そんな季節がやってきたのかな、とも思ってる。今の自分がそれに耐えられるかどうか、分からないんだけれど。耐えられる自分ではいたい。
―――昨年はこの映画の封切りを楽しみにしすぎていて、翌日にライヴがあることを忘れていたそうですが、いいですか、明日は吉祥寺STAR PINE'S CAFEでライヴで、『Live at Cafe Milton』の発売ですよ。山口洋 はい。そうだったね。明日はこのアルバムからの曲を中心にやるつもり。みんな気軽に遊びに来んしゃいね。
（インタビュー 続く）
山口洋 LIFE WORK '09
4月16日（木）吉祥寺・Star Pine's Cafe
開場／開演＝18時30分／19時30分
チケット料金＝3,800円（税込／ドリンク代別途）
問＝Star Pine's Cafe（TEL_0422-23-2251）
