「『リアリティとファンタジー』が僕のテーマでした」渡辺太朗



2007年12月7日、渋谷での「AOP SESSIONS」にて『the Rising』印刷サンプルを持つ山口洋と渡辺太朗。撮影=MOMO


―――山口洋のインタビュー第一回に続いて登場は、2007年4月のツアー“land of music” で映像を担当した「mood.films」の一員であり、今回の『land of music "the Rising"』のアートディレクターの渡辺太朗さんによる「制作進行速報」です。
先日、ついに『land of music "the Rising"』の最初の印刷見本が上がってきましたね。DVD2枚、CD2枚、本とアイテム数も多く、デザイン作業もなかなか「困難」だったと思うのですが、見本を見て手応えはいかがですか?


渡辺太朗 見本の手応えとしてはいい感じです。ただ、今回はボックスセットですから、平面の見本では判断しにくい部分が多いのと、DVD、CD、本が収まって完成するデザインになっているので、セットされて納品されるまでは気が抜けないですね。
今回のデザイン制作は、2007年4月の東京公演のライヴDVD化の話をいただいた時に(ライヴDVD『"land of music" in Action』の映像編集も「mood.films」が行った)、僕が山口さんに志願してやらせてもらいました。DVDの映像だけではなくて、パッケージについても責任を持ちたかったからですが、その後、ダイアリー本が入ることになって、今の「LPサイズの実物大、芝生写真」のアイデアに行き着きました。
なぜLPサイズなのかとか、なぜ芝生なのかとかは、手に取った人がその意図を想像したり、それぞれが解釈したりすることが「デザインを楽しむ」ことの大きな要素だと思っているのでここでは言いませんが、「リアリティとファンタジー」が今回の僕のテーマでした。
制作過程で、ほとんどデザインをフィックスした後に急遽ライヴCDが2枚、追加されることになったので、その部分では多少苦労はありましたが、デザインについて山口さんから「こうしてくれ」といったオーダーはまったく無く、自由にやらせてもらったので楽しんで作れました。


―――今後もまだエコバッグのデザイン入稿や、印刷の再チェックなど渡辺さんの作業は続いてるんですよね。


渡辺太朗 はい。エコバッグは昨日、デザイン入稿しました。いつもならこれで一段落というところですが、今回は本当に完成まで緊張感が抜けないでしょうね。年末にボックスへの封入作業が行われることになっているので、たぶん、僕も工場に行くと思います。
エコバッグについては、山口さんの日記を読んでいただければわかると思いますが、まさにあの日に追加されたアイデアで、僕らも映像チームとして協賛させていただきました。もうこの段階ではパッケージの値段も決まっていたので、エコバッグは言うなれば「オマケ」です。オマケですが、大切なオマケなんです。"the Rising"を手に取った人たちに、このバッグを使うことが"the Rising"のムーブメントに参加することなんだと思ってもらえたら、とてもうれしいです。